QSCV

半導体デバイス測定に関する翻訳で、QSCVという言葉がよく出てくる(例えば、B1500A半導体デバイス・アナライザのp3)。QSCVは、Quasi-Static Capacitance-Voltage(準静的CV)の略である。

QSCV法は、界面準位密度を評価する方法の1つである。非常に低い周波数(Quasi-Static)の電源と高周波電源を用意して、それぞれの電源でゲート電極に電圧を印加して、C-V特性を測定し、以下のようにして界面準位密度を求める方法である。

非常に低い周波数をゲート電極に印加したときは、界面準位にキャリアが捕獲され電荷が溜まる状態が反映されるのでその等価容量Citが半導体基板の空乏層容量Csに並列接続され、それらに絶縁(酸化)膜の容量Coxが直列に接続された等価回路として、MOS構造の容量Clfが表され、

1/Clf=1/Cox+1/(Cs+Cit)

となる。

高周波をゲート電極に印加したときは、界面準位へのキャリアの捕獲/放出プロセスが高周波に追随できず、MOS構造の容量(キャパシタンス)Chfは、絶縁膜の容量Coxと空乏層容量Csが直列に接続された等価回路で表され、

1/Chf=1/Cox+1/Cs

となる。

上の2つの式から、Citを求めて、界面準位密度Ditを

Dit=Cit/qA(q:電子の電荷、A:電極下の界面の面積)

で求める方法がQSCV法である。

界面準位については、以下を参照

山形大学大学院理工学研究科廣瀬文研究室 > 半導体デバイス教科書プロジェクト > 第4章 ショットキーダイオード

QSCV法については、以下を参照。

福井大学審査学位論文 [博士(工学)] 窒化物半導体トランジスタの高温動作に関する研究(平成26年3月 畑野 舞子)の「2-5-2 界面準位の評価法」の「high-low 法」

コメントは受け付けていません。