1 dB compression point(1 dB圧縮ポイント)

パワーアンプ測定に関する翻訳で、1 dB compression point(1 dB圧縮ポイント)という言葉がよく出てくる(例えば、パワーアンプ・テスト用 Signal Studio N7614Bのp12)。

通常、増幅器への入力パワーが小さいときには、増幅器への入力パワーが増加すると、それに比例して増幅器からの出力パワーが増加する。このときの比例係数を(小信号)利得と呼び、利得は一定である。また、利得が一定となる入力パワーの範囲を増幅器の線形(リニア)領域と呼ぶ。

増幅器への入力パワーが、リニア領域を超えて増加すると、増幅器内のトランジスタなどの増幅素子の動作原理から入力パワーと出力パワーが比例関係からずれてきて(入力パワーの増加に対して、出力パワーの増加が鈍くなり)、やがて入力パワーが増加しても出力パワーが増加しなくなる(利得がゼロになる)。このような入力パワーの範囲を増幅器の飽和(圧縮)領域と呼ぶ。入力パワーが圧縮領域に入ると、入力パワーと出力パワーの非線形性により、高調波歪み相互変調歪みが生じる。

増幅器のリニア領域と飽和領域を分けるポイントを表わす指標として、「1 dB圧縮ポイント」が用いられる。これは、以下の2つをプロットして、その出力パワーの差が1 dBとなる、増幅器の出力レベルである。

1) 増幅器への入力パワーが小さいときの、入力パワーと出力パワーの理想的な比例関係(グラフに入力パワー(横軸)と出力パワー(縦軸)をプロットしたときの直線(この直線の傾きが利得))を線形領域を超えて圧縮領域に外挿した直線

2) 実際の入力パワーと出力パワーの関係(グラフに入力パワー(横軸)と出力パワー(縦軸)をプロットしたときに、線形領域を超えて圧縮領域に入ると直線の傾き(利得)が徐々に小さくなる)

1 dB圧縮ポイントについては、以下を参照。

スタック電子株式会社のホームページ > 高周波用語集 > アンプの用語解説

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