無線通信機器設計に関する翻訳に、NB-IoTという言葉が最近よく出てくる(例えば、IoT-大きな可能性と大きな課題のp5の図2。NB-IoTのNBは、Narrow Band(狭帯域)の略である。
IoT向けの無線規格として、Bluetooth Low Energy (BLE)、ZigBee、Wi-SUN、802.11ahなどが知られている。これらは比較的通信可能距離が短い規格である。Bluetooth Low Energy (BLE)、ZigBee、Wi-SUNはPAN(Personal Area Network)と呼ばれる近距離ネットワーク用で、802.11ahはLAN(Local Area Network)と呼ばれる中距離ネットワーク用で、通信可能距離は数m~1 km程度である。これらに対して、NB-IoTはWAN(Wide Area Network)と呼ばれる長距離ネットワークに対応した低コスト、低消費電力通信(LPWA(Low Power Wide Area)ネットワークと呼ばれる)の規格で、基地局間の通信により通信距離の制限がない。
NB-IoTは、第3世代以降の移動通信システムの国際標準化団体である3GPPが策定したリリース13に示されている、IoT向けのLTE通信の仕様である。LTEの通常の伝送帯域幅が最大20 MHzであるのに対して、NB-IoT通信の伝送帯域幅は200 kHzと狭帯域で、3つの動作モード(GSM搬送波に埋め込むスタンドアロンモード、LTE搬送波に埋め込むインバンドモード、LTE搬送波のガードバンドに埋め込むガードバンドモード)がある。
NB-IoTについては、以下を参照。