traceable(トレーサブル)

測定器の測定確度に関する翻訳でtraceable(トレーサブル)という言葉がよく出てくる(例えば、PCBインピーダンステストの測定確度と相関の向上のp3)。

traceableを直訳すると「追跡可能」である。最近の消費者の安全志向、本物志向の高まりにより、食品のトレーサビリティ(食品が生産者から消費者に届くまでに、どうのような加工、流通経路を辿ったかを追跡可能であること)という言葉をよく耳にする。

トレーサビリティという言葉は、旧ソ連が人工衛星を世界で始めて打ち上げたときの驚き(スプートニックショック)に端を発した、米国の宇宙開発計画がその始まりとされている。ロケット開発では測定データの信頼性が不可欠なので、すべての測定器は当時の国立標準局(National Bureau of Standards(NBS)、現在はNational Institute of Standards and Technology(NIST))にトレーサーブルであるべきとされた。

測定器では、その測定値が標準の値(国家計量標準)にトレーサブルでないと、測定値の信頼性がなくなり、商品の製造、取引などに重大な影響を与える。したがって、日本では計量法に基づき、国家計量標準が定められ、国家計量標準につながる校正経路が確保されている。

測定器のトレーサビリティは、JIS Z8103:2000 計測用語に「不確かさがすべて表記された切れ目のない比較の連鎖(上の「国家計量標準につながる校正経路」)によって,決められた基準に結びつけられ得る測定結果又は標準の値の性質。基準は通常,国家標準又は国際標準である。」と定義されている。

トレーサビリティについては、以下を参照。

経済産業省のホームページ > 政策について > 政策一覧 > 経済産業 > 計量行政 > 計量標準 > 計量標準FAQ

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