最後の「詰め」

アクセス制限の掛かったwebサイトを利用する際には、ユーザ名とパスワードの入力が必要になります。流れとしては次のような感じになるかと思います。

  1. 制限付きサイトにアクセス
  2. ユーザ名とパスワードの入力を求めるダイアログが表示される
  3. ユーザ名とパスワードを入力する
  4. 認証ダイアログが閉じられる
  5. ブラウザにサイトが表示される

しかし、Windows 7+Internet Explorer 10の環境では、ステップ5のブラウザにサイトが表示される段階で、他のウインドウにフォーカスが移ってしまう現象が発生します。サイト自体は表示されますが、IEのウインドウが非アクティブとなり、他のウインドウが表示されるため不便で仕方ありません。

先ほど、この件についてどうにかならないものかと相談を受け、初めてこの現象について知りました。さっそく調べてみたところ、MSとしては問題として認識しているようですが、未だ解決策はないようです。原因と解決方法をKBから引用します。

原因

この現象は、デスクトップ用 Internet Explorer 10 で認証ダイアログを閉じる際の、ウィンドウ位置/順序の制御の不具合に起因して発生します。

解決方法

この現象は、ウィンドウの位置/順序の問題であり、問題が発生しても表示されている Web ページの動作に影響はありません。認証ダイアログを閉じた後に、後ろに表示された Internet Explorer のウィンドウを再び前面に表示して操作を行うことができます。

解決方法を意訳してみると「こまけぇことは気にすんな!」といったところでしょうか。

しかし、毎日認証が必要なサイトにアクセスするユーザはどうでしょう? 「Web ページの動作に影響はありません」と簡単に切り捨てられてはたまりません。MSにとっては些末なバグかもしれませんが、これを疎かにすることはユーザエクスペリエンスを疎かにしているのと同じではないかと思います。

バグ処理の優先度など、リソースを割けなかった理由は様々かもしれません。そして残ってしまった最後の「詰め」。これを他山の石とせず、自戒を込めてここにメモしておこうと思います。

DANL(表示平均雑音レベル)

スペクトラム・アナライザに関する翻訳で、DANL(表示平均雑音レベル)という言葉がよく出てくる(例えば、スペクトラム・アナライザ測定を成功させる8つのヒントのp3)。DANLは、displayed average noise levelの省略形で、表示平均ノイズ・レベルとも訳される。

DANL(表示平均雑音レベル)とは、スペクトラム・アナライザのディスプレイ上に表示されるノイズフロアのレベルで、測定可能な最小信号レベル(感度)を表す。このノイズフロア・レベルは、スペクトラム・アナライザのRBW(分解能帯域幅)により変化するので、RMBの値とともにその仕様値が示される。ノイズフロアのレベルの下限は、自然界に必ず存在する熱雑音(kTB雑音)により制限され、理論限界値は-174 dBm/Hz(T=290 K)である。

スペクトラム・アナライザのダイナミック・レンジ、DANL、位相雑音、内部歪みの関係については、以下を参照。

RF/マイクロ波スペクトラム・アナライザのダイナミック・レンジの最適化

convolution(畳み込み)

回路シミュレーションに関する翻訳で、convolution(畳み込み)という言葉がよく出てくる(例えば、IBIS AMIチャネル・シミュレーション・フローを用いたSERDESデザインについてのp4)。

回路のインパルス応答を測定するだけで、あらゆる入力信号に対する応答(出力信号)が「畳み込み演算」により求めることができる。
コンボリューション1
ある系に、入力信号x[t]を印加したときの出力信号y[t]を考える。この系は、線形性(重ね合わせの原理が成り立つ)、時不変性(時刻が異なっても入力と出力の関係が同じ)、因果律を満たす(時刻nにおけるシステムの出力y[n]は、過去の入力x[n]、x[n-1]、…のみに依存)とする。
コンボリューション2
この系に、インパルス関数δ(n)[n=0のときδ(n)=1、n≠0のときδ(n)=0となる関数]を入力したときの出力(インパルス応答関数)をh(n)とすると、y[t]=x[t]h[0]+x[t-1]h[1]+…となる。これを、離散系のたたみ込み演算(コンボリューション)という(図参照)。

このような系では、インパルス関数δ[n]の応答h[n]を測定すれば、上の式から、任意の入力x[t]に対する出力y[t]が得られる。連続系では、上の離散系のたたみ込み演算を連続化して、図のような積分表示となる。

コンボリューション3

畳み込み演算の簡単な説明については、以下を参照

たたみこみ(合成積)