polarization extinction ratio(偏波消光比)

偏光測定に関する翻訳に、polarization extinction ratio(偏波消光比)という言葉がよく出てくる(例えば、偏波コントローラのp4)。

偏波消光比とは、どの程度直線偏光が完全に実現されているかを表わすための指標で、偏波クロストークとも呼ばれる。

光は電磁波の一種である。電磁波は、振動する電場と磁場の方向が波の進行方向と垂直な横波であり、電場の振動方向と磁場の振動方向も垂直である(電荷と電流がない真空でのMaxwell方程式を解くことにより示される)。電場の振動方向は、光波の進行方向に垂直であればよいので、進行方向に対して垂直な平面内の(原点を通る)さまざまな方向をとることができる。このとき、振動方向が特定の方向に偏っている波が偏光(偏波)状態の波である。

太陽や白熱電球から放出される光の電場の振動方向は、進行方向に対して垂直な平面内のあらゆる方向に存在する。このような光(無偏光または非偏光の光)から、進行方向に対して垂直な平面内の(原点を通る)特定の方向だけに振動している光のみを透過し、それ以外の方向に振動している光を遮断するデバイスを(直線)偏光子と呼ぶ。

無偏光の光の進行方向に、2つの直線偏光子を配置し、一方の偏光子を固定し、もう一方を回転すると、2つの偏光子の向きが同じ場合に透過光が最大の強度になり、向きが90度異なる場合に最小の強度(理想的にはゼロ、すなわち消光)となる。この最大強度Pmaxと最小強度Pminの比が偏波消光比である。以下のように通常はdB単位で表される。

偏波消光比=10log(Pmax/Pmin)

偏波保持ファイバ、レーザー、光変調器などの偏波状態に敏感なデバイスで、偏波消光比が測定/評価される。

偏光子については、以下を参照。

岡本硝子株式会社のホームページ > 偏光子の基礎知識 > 偏光子とは

PON(パッシブ・オプティカル・ネットワーク)

波長可変レーザー光源に関する翻訳に、PON(パッシブ・オプティカル・ネットワーク)という言葉がよく出てくる(例えば、8160xxシリーズ 波長可変レーザー光源のp2)。PONは、Passive Optical Networkの略である。

現在、通信事業者の中継局から加入者宅に光ファイバ回線を直接引き込むFTTH(Fiber To The Home)が普及している。

中継局と加入者宅の間のアクセス・ネットワーク(アクセス網)のネットワーク構成には、専有型(SS(Single Star)方式とも呼ばれ、中継局と加入者宅を1本の光ファイバで1対1で結ぶ方式)と共用型(中継局と加入者宅の間に光ケーブルの分岐ポイントがあり、1本の光ファイバを複数の加入者が共有する方式)の2つの形態がある。

共用型のネットワーク構成は、AON(Active Optical Network)方式とPON(Passive Optical Network)方式に分けられる。AON方式は、中継局と加入者宅の間のノードに能動(アクティブ)素子で構成された電気光変換装置や多重化装置を配置して、1本の光ファイバを分岐する方式である。PON方式は、光スプリッタなどの受動(パッシブ)部品で構成された装置を配置して、1本の光ファイバを分岐する方式である。

PON方式は、AON方式に比べて、安価で保守も容易なので広く普及している。NTTの光回線を使用している場合は、GE-PON-ONU(Gigabit Ethernet-Passive Optical Network-Optical Network Unit)と呼ばれる光回線終端装置が宅内に設置されているはずである。

PON(パッシブ・オプティカル・ネットワーク)については、以下を参照。

NTTグループのホームページ > 研究開発 > NTT技術ジャーナル > バックナンバー > 2005 vol.17 No.8 > GE-PON技術――第1回 PONとは

CMM(3次元測定機)

レーザー測定に関する翻訳で、CMMという言葉がよく出てくる(例えば、5530レーザー・キャリブレーション・システム)。

CMMは、Coordinate Measuring Machineの略で、3次元測定機、3次元座標測定機、座標測定機とも呼ばれ、機械部品などの3次元形状の寸法や位置、幾何公差(真直度、平面度、平行度、直角度など)を測定する機械である。

3次元測定機は、プローブ(先端にボールが付いて、それが被測定物に接触すると信号が出力される)が取付けられたアームが、互いに直交するガイド(互いに直交するX軸、Y軸、Z軸)に沿って動き、ボールが被測定物に接触したときの3次元座標を記録する(互いに直交するガイドに沿ったアームの移動距離から、3次元座標がわかる)。例えば、この動画を参照。

これらの座標値から、直線の位置は2点の座標値から、平面や円の位置は3点の座標値から、球体の位置は4点の座標値から求められる。また、平面度、平行度などの幾何公差(幾何学的に正しい図形や位置関係からの許容誤差範囲)も多数の座標点を最小2乗法でフィッテングすることにより求められる。

CMM(3次元測定機)については、以下を参照

ものづくり産業を支える高精度三次元形状測定

訪問記 精密測定機器作りの元祖