PSRR(電源電圧変動除去比)

オペアンプ測定に関する翻訳で、PSRR(電源電圧変動除去比)という言葉がよく出てくる(例えば、Keysight E5061Bネットワーク・アナライザのp5)。PSRRは、Power Supply Rejection Ratioの略である。

PSRRとは、オペアンプ、ADコンバータ、リニア・レギュレータなどのアナログICデバイスに入力される電源電圧に変動(リップル)があるときに、そのデバイスが電源電圧の変動を除去できる能力であり、以下のように定義される。

PSRR(dB)=20log(ΔVsupply/ΔVout)、ΔVsupply:電源電圧の変動、ΔVout:デバイスの出力電圧の変動

例えば、電源電圧が1V変化したときに、デバイスの出力電圧が10μV変化したとすると、PSRR(dB)=20log(1/10×10^(-6))=20log(10^5)=100(dB)となる。

電源電圧の変動(リップル)の原因には、AC電源ライン周波数に起因する変動、DC/DCコンバータのスイッチング周波数に起因する変動、電源を複数の回路ブロックで共有することによる変動などがあり、PSRRはアナログICデバイスの重要な性能指標である。

PSRR(電源電圧変動除去比)については、以下を参照。

LDO PSRR Measurement Simplified(英語PDF)

chirp(チャープ)

レーダ測定やシミュレーションに関する翻訳で、chirp(チャープ)という言葉がよく出てくる(例えば、SystemVueを使用したレーダ・システムの設計と干渉解析)。

chirpという用語を辞書で引くと、「虫や鳥の鳴き声」という意味が出てくるが、レーダ測定では、chirp(チャープ)信号とは「周波数が時間とともに連続的に変化する信号」のことである。パルス圧縮レーダに、chirp(チャープ)信号が用いられている。

パルス・レーダでは、パルス信号を送信してから、目標からの反射信号が受信されるまでの遅延時間tを測定することにより、目標までの距離Rを求める。tは、電波が目標に達して反射されて帰ってくるまでの往復の時間なので、光速をcとすると、

R=ct/2

である。したがって、パルス・レーダの距離分解能ΔRは、パルス幅Twによって制限され、

ΔR=cTw/2  (1)

となる。

(1)式から、Twを短くすれば、距離分解能が向上するが、送信信号の平均電力が低下するので(パルスの占有帯域幅(≒1/Tw)が増加して受信時のS/N比が低下するので)、レーダの探知距離が短くなる。探知距離を伸ばすために、パルス圧縮レーダが用いられる。

パルス圧縮レーダでは、送信信号として、S/N比を稼ぐためにパルス幅Twを長くし、パルス内部の正弦波の周波数がTwの期間にリニアにΔf増加するリニア周波数変調(FM)をかけた信号(チャープ信号)を用いる。このようなチャープ・パルス信号を用いると、目標で反射されて戻ってきた受信信号を、周波数の増加Δfに対してリニアに遅延時間が減少する回路に通すことにより、元のパルス幅Twに関係なく、パルス幅(=1/Δf)を短く(圧縮)でき、距離分解能を向上できる。

パルス圧縮レーダについては、以下を参照。

日本財団 図書館 > 技術 > 電気工学.電子工学 > 平成15年度 新マイクロ波標識の開発に関する調査研究中間報告書 > 1.2 レーダー方式と技術開発動向

香港ナウ!

夏休みに香港に行って来ました。この国がイギリス領だったころから「近場のイギリス」という感じで何度も行ってるんですが、中国に返還後、どんなふうに変わるんだろう、とそのビミョーな変化を捉えたいと、3年前に一度、そして今回、再訪しました。まず感じたのは、3年前と比べても「英語率が下がった」「日本語率が上がった」「日本人観光客が減り中国人観光客が増えた」こと。九龍半島の西側にある高級ショップが並ぶ廣東道のもう一つ西にハーバーシティという巨大ショッピングモールができ、バーゲン時期だったせいもあるのでしょうが、ものすごい数の中国人観光客!(Weekend Honkong!というツアーがあるらしい)。ヴィトンなんて、イトーヨーカドーのワゴンセールですか??というくらいの人がいたし、グッチのぴかぴかなフロントウィンドウにベターッと手を付けている子供がごちゃーっといるし、万引きを懸念してか、高級ショップには入ってから出るまで一人のスタッフがぴったり張り付くし、で、早々に引き揚げてきました。(四半世紀前に日本人が大挙してパリに押し寄せ、ヴィトンのバッグ、カルチェの3リングを買い占めたときも同様の批判はありましたが、正直ここまでではなかったです。私もそこにいましたから。)そのためか、町では英語が影をひそめ、中国語が幅を利かせ、ホテルへの送り迎えを頼んだガイドさんは、全文助詞抜きの日本語で。まあそれでも通じるんですよねー。私としてはもっとじわーっと感じる変化を感じたかったのですが、どひゃーという感じでした。

ドイツが統合された後、旧東ドイツの小さな町を訪れたことがあります。ベルリン内ではなく、ドイツ北にある小さな旧国境を越えての訪問でしたが、西と東の経済格差を道を進むにつれ、ざらっとした感触で感じたのをよく覚えています。道を歩く人の目、失業率25%の国で仕事にあぶれ町でたむろする若者、駅や町の食堂の安くて、まずい食事。たぶんもう今はあの町も西の「空気」に占領されているのでしょうか。もう名前を忘れてしまった町。もう一度訪ねてみたいです。

日本にいると所属する国が変わるという経験は(沖縄の方以外は….)皆無で、せいぜい市町村の合併、併合が行われる程度。圧倒的な文化の違いを感じることはありません。でも世界にはたくさんそんな経験をしている人たちがいるのですよね。世界の人が自国の文化をきちんと守り、継承できる、そんな世界になってほしい。まずは足元から。美しい日本語を送り出すローカライザーでありたいと思います。

 

load pull(ロードプル)

ロードプル測定高周波パワー・アンプ測定に関する翻訳で、load pull(ロードプル)という言葉がよく出てくる(例えば、Xパラメータを用いたハイパワー増幅器の評価と最適化のp2)。

ロードプル測定は、携帯電話などの送信部の最終段のRF/マイクロ波パワー増幅器の出力特性(出力パワー、利得など)を最適化するのに用いられる手法である。

このような大信号条件下では、増幅器の出力特性は、入力信号レベル(ドライブ・レベル)と負荷インピーダンスの関数になる。

ロードプル測定は、上図のようなシステムを使用して、最大パワーが出力されるようにチューナを調整し、そのときの出力インピーダンスを測定する。チューナには、パッシブ型(終端インピーダンスの大きさと位相が可変)、アクティブ型(ハイ・パワー・デバイスで一般的な大きな反射を形成)、高調波対応型(個々の高調波に対して終端インピーダンスが可変)がある。その結果はスミス・チャート上の等出力パワー等高線(同じ出力パワーを与える負荷インピーダンス線)として示される。

ロードプル測定については、以下を参照

Load Pull for Power Devices(英語ページ)