spurious free dynamic range(スプリアス・フリー・ダイナミック・レンジ)

スペクトラム・アナライザやデジタイザに関する翻訳で、spurious free dynamic range(スプリアス・フリー・ダイナミック・レンジ))という言葉がよく出てくる(例えば、PXA Xシリーズ シグナル・アナライザ N9030Aのp1)。スプリアス・フリー・ダイナミック・レンジは、spurious free dynamic rangeの頭文字をとってSFDRと略されることもある。

スプリアスとは、周波数軸上の目的の信号成分(基本波)以外の不要な信号成分のことで、高調波スプリアス(基本波の高調波成分)と非高調波スプリアス(電源やCPUクロックに起因する基本波と整数比の関係にない成分や相互変調歪み成分)がある。

スプリアス・フリー・ダイナミック・レンジとは、周波数軸上の目的の信号成分(基本波)と最大のスプリアス成分との差をdBで表したもので、「スプリアスの影響を受けないダイナミック・レンジ」という意味である。

スプリアスについては、以下を参照。

㈱NF回路設計ブロックのホームページ > 技術情報 > 技術用語集スプリアス

スプリアス・フリー・ダイナミック・レンジについては、以下を参照。

SNRとSFDR

Volatility(変動性、変動率、ボラティリティ)

金融工学では、金融派生商品の価格変動幅の比率のことだが、オプション取引では原資産価格の変動幅を年率で表示したりする。つまり、一定期間内における株価や金利などの変動性を示したものだ。大雑把に言えば、価格変動が大きければボラティリティは高くなり、小さければ低くなる。

投資市場では、ボラティリティのことを「ボラ」と略称し「ボラ高」とか言ったりするが、経済関連のドキュメントなどに出てくる「ボラ高」を、まさか魚市場でボラ(鰡)の値段が高くなっているのかと勘違いして翻訳する人は、……おるまい。……多分。

Engagement(エンゲージメント)

Engagementは、このコラムでも再登場である。この単語を訳すときには、特に注意が必要なだけに再度コメントしておこう。

Engagementを安易に”関係”と訳す翻訳者がいたりする。文脈によっては差し支えない場合もあるが、その定義が明確になされていないと、意味の通じない支離滅裂な訳文になったりする。特に、ITやマーケティング分野のドキュメントに出てくるengagementを訳す場合には注意が必要だ。プロの翻訳者なら、この言葉の持つ概念を十分に理解しておきたい。

辞書を調べても、どうも概念が今一つ掴めないという翻訳者のために、敢えて日本語的に一言に訳して説明するとしたら、「双方(互い)の成長に貢献し合う関係」「相互貢献的な関係性」とでもなるだろう。単なる、”関係”(relationship)を意味しているのではない、ということは理解できるだろう。