多様化

多様化という言葉は便利に使える。価値観の多様化、ニーズの多様化、表現の多様化など、まさに時代を反映して多用されている。しかし、この多様化への対応となると、やっかいだ。価値観が異なれば、対立も起きやすくなる。多様なニーズが出てくれば、個別対応を求められ相当な労力が発生する。ましてや表現が多様化すると、発信側と受け手の認識や解釈の相違を招き論争の種となる。

多様化が問題なのではない。その使われ方の背景にある世の中の変化に気付けるかが重要となってくるのであろう。多くのフェーズにおいて多様化することが望ましい時代でもある。多様化への対応が、ビジネスをはじめ世の中の活性化にもつながっている。

時代を反映する言葉が何を示唆しているのか、といった視点ではなく、多様化の時代背景が言葉に投射されていると捉えると、世の中がどこに向かっているかが見えてくるようで面白い。言葉は生き物である。使われ方も変遷していく。言葉のマニュピュレーターたちは、そんな無数の生き物とどう共存していけばいいのか、今日も模索し続けている。

なかなか使えるDepro Tools

『Depro Tools』は使いやすくて、なかなか便利だ。世の中にもそれなりに、入力時のケアレスミスや文法的な誤りをチェックしてくれるツールはいくつかある。しかし、プロの現場で使い物になるツールは、あまり見当たらない。

『Depro Tools』を使いながら、開発者に「ああして欲しい、こうして欲しい」と好き勝手言って、機能アップを図ってもらっている。使い勝手が良くなると、効率が上がり品質も確かなものになってくる。何よりも、ストレスが減る。お客様に、より良い品質の仕事が届けられると思うだけで、ストレスが1つ減るわけだ。ストレスが減ると仕事もはかどる。仕事がはかどると、お客様とのやりとりもスピードアップしてくる。お客様の評価も高まる。

ちょっと恰好つけた言い方をすると、お客様からの声、とりわけエンドユーザーからの声、敢えて業界風に言うならば、「ユーザーエクスペリエンス」を最高のものにするために、日々取り組んでいるわけだ。ともかくも、「より良い作品」を世の中に送り出していくために、効率化と品質アップに常に取り組んでいかなければならない。

『Depro Tools』がバージョンアップを続け、プロの現場を支える最強ツールの一つとなるように、これからも「ああして欲しい、こうして欲しい」と言い続けてゆくのは間違いない。

機械翻訳

この数十年間の機械翻訳に対する市場の評価は、浮き沈みこそあれ確実に高まってきている。機械翻訳技術の歴史は、1930年代までさかのぼるのだが、市場の脚光を集め始めたのは1980年代になってからだ。1990年代に、商用使用が加速し始めたときは、さまざまなメーカーが翻訳ソフトを市場投入しブームが起こった。2000年代になり、技術(コンピューターの能力や容量)の拡大と相まって、機械翻訳の活用に向けた研究がさらに進み、ここ1~2年、世界的な企業では機械翻訳を使用しての「アジャイル(俊敏)」なビジネス展開を本格化させる動きが出始めている。ローカライズのフロントランナーとして、ローカライズ(翻訳)の現場では、エキサイティングなチャレンジが続く。

因みに、機械翻訳という表現が、昨今の市場の潮流を形成し始めている翻訳スタイルを適切に表しているかどうかは疑問だ。機械翻訳とコンピューター支援翻訳とは技術的な仕組みは異なるので、各種(構造、形態素、文脈など)の解析を伴わない翻訳システムに関しては、データベース型翻訳とでも称したいところだ。が、データベースシステムに解析能力と匹敵するような機能を持たせることも可能なことを考えると、単純に自動翻訳とでも表現した方がいいのだろうか。