多様化という言葉は便利に使える。価値観の多様化、ニーズの多様化、表現の多様化など、まさに時代を反映して多用されている。しかし、この多様化への対応となると、やっかいだ。価値観が異なれば、対立も起きやすくなる。多様なニーズが出てくれば、個別対応を求められ相当な労力が発生する。ましてや表現が多様化すると、発信側と受け手の認識や解釈の相違を招き論争の種となる。
多様化が問題なのではない。その使われ方の背景にある世の中の変化に気付けるかが重要となってくるのであろう。多くのフェーズにおいて多様化することが望ましい時代でもある。多様化への対応が、ビジネスをはじめ世の中の活性化にもつながっている。
時代を反映する言葉が何を示唆しているのか、といった視点ではなく、多様化の時代背景が言葉に投射されていると捉えると、世の中がどこに向かっているかが見えてくるようで面白い。言葉は生き物である。使われ方も変遷していく。言葉のマニュピュレーターたちは、そんな無数の生き物とどう共存していけばいいのか、今日も模索し続けている。