カタカナの訳語にしてしまうこと自体、意味をわかりにくくしているのかもしれない。アクセス性(アクセスのしやすさ)を意味しているのだが、概念は幅広い。類語としてアベイラビリティ(可用性)やユーザビリティ(使いやすさ)も考えられなくもないが、概念の広さが違いすぎる。一般的には障害者や高齢者などへの対応性を語る場合に用いる。例えば日本では、建物や施設の(内外の)段差を取り除いて利用しやすくしていることをバリアフリーと言うが、英語圏ではアクセシビリティを使う。IT分野では、Web閲覧環境への対応性をWebアクセシビリティなどと言う。また、ユーザー補助(機能)を指す場合もある。何れにしても、利用者に使いやすく配慮がなされているかが問われている。

Innovation(革新、イノベーション)
技術革新と訳されているドキュメントもあるが、文脈を正確に捉えてから翻訳しないと整合性が失われかねない場合がある。Innovationだけなら”革新”か”イノベーション”と訳した方が文脈の整合性は確保できる。つまり、イノベーションをもたらすものには、技術の発明だけではなくさまざまな要因があるからだ。Innovationとは、新しく創出された価値などによって社会的に大きな変化や変革、刷新がもたらされることを意味しており、技術的な革新以外にも社会に広く影響を与える新しい概念や仕組みなども含まれる。因みに”technical~”とか”technological~”とあれば、技術革新と訳すことになる。
Business continuity(事業継続、ビジネス継続性、…)
ビジネスコンティニュイティとすべてカタカナにする場合もある。統一を図る上でも翻訳プロジェクトごとの事前の確認が必要だろう。末尾に”性”を付けるかどうかは、文脈を掴んでから決めることになる。因みに、Business continuity plan(ning)とある場合は、”性”を付けずに”~継続計画”とするのが一般的。企業にとってビジネスの中断は大きな損失を招くことになる。リスクマネジメントの面からも重要な経営課題であり、ディザスタリカバリ計画を含めた総合的な事業継続管理(Business Continuity Management)が求められている。