線路脇で。

どこかから1粒の種が飛んできたのだろ。大都会の線路脇で野菊が1本咲いていた。野路菊、いや嫁菜(ヨメナ)の種類だろうか。

子供の頃、嫁菜のような野菊を摘んで、病気で学校を休んでいる友だちの家へ見舞いに行ったことがあった。綺麗な花だと思って、野原や庭で10本ほどを摘んで花束にした。子供の自分には、それが精一杯だった。

友だちの家に着き、玄関口に出てきたご家族の人に花束を渡したら怪訝な顔をされた。どうせなら、もっと豪華にバラのような花にすれば良かったのだろうかと少し悲しくなった。

嫁菜の花言葉は、”隠れた美しさ”だったと記憶している。電車を待っていて、そんなことを思い出した。

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