Best practice(ベストプラクティス)

ビジネス関連のドキュメントでは、いわゆるビジネスにおける”成功事例”のことだが、そのプロセスや手法の意味も含んでいるため、単に”成功事例”とするよりベストプラクティスとした方が文脈整合性はとれやすい。因みに、Business best practiceは、ビジネスベストプラクティスと訳すが、カタカナ表記することで文脈のリズムが壊れる場合は、意味的に誤解を与えないことを前提に”ビジネス成功事例”としても差し支えないだろう。どちらの訳語を用いるかは、プロジェクト全体を把握した上で決めればよい。

Market practice(市場慣行)

市場実績とか市場の状況とか、誤訳されているケースを見かける。間違えないで欲しい。類似の言葉にBusiness practice(商慣習)あるが、Business practiceは”ビジネスプラクティス”と訳されるケースが増えてきている影響か、市場慣行も”マーケットプラクティス”とカタカナ表記されるようになってきた。市場慣行の方がまだ馴染みはあるが、ドキュメント全体の流れやリズムなどを掴んだ上で、漢字を用いるかカタカナにするか決めることになる。

Differentiation(差別化→差異化→?)

他社との”差別化”といったように、最近は普通に使用されている。多くの企業の訳語リストがそうなっている。競合他社との違い、他社製品と異なる特徴をアピールする際に、差別化という用語を使うわけだ。翻訳する際は、ビジネスの世界に特化した固有の表現だと、敢えて自分に言い聞かせて使うようにしている。差別意識を日常生活に受け入れてしまう世の中であってはならないが、ビジネスの世界では、差別化を図ることの重要性が強調される。会社人間として、それは十分に十二分にわかる。だが、他の表現を考えたい。せめて差異化とか。いや、わたしに翻訳を一任するなら、まったく異なるアピール表現を用いるだろう。