“~性”という表現が流行っているITビジネス業界。移動性、可動性、機動性、流動性と、まぁ、さまざまな訳が可能だろうが、全部ひっくるめて”モビリティ”と一言で言い表せられる。昨今は、モビリティの向上を図ることが企業の課題となっている。ビジネス界ではモバイルワーカーが増え、ワークスタイルの多様化が急激に進み、モビリティの高いツールやサービスが求められているわけだ。モバイル環境の整備が進み、ワークスタイルが多様化している現れである。因みに、E-Mobility(E-モビリティ)は、自動車業界のトレンドだが、混乱しないように。

Mini App(ミニアプリ)
デスクトップ(ラップトップ)コンピューターで動作するソフトウェアがApplication(アプリケーション)と呼ばれるのに対して、モバイル機器で動作するソフトウェアはApp(アプリ)と呼ばれる。日本語の「アプリ」はもともと「アプリケーション」の略称だったのだが、最近は「アプリケーション」のモバイル版が「アプリ」という位置づけになりつつある(”Application” → “App” と「アプリケーション」→「アプリ」の対応関係は個人的にはきれいで気持ちがいい)。
そして最近登場したのが、Mini App(ミニアプリ)と呼ばれるソフトウェア。「ミニアプリ」は、「アプリケーション」のモバイル版(つまり「アプリ」)からさらに不要な機能を省き、スマートフォンやタブレットから必要最小限の機能にアクセスできるようにしたソフトウェアのこと。この場合、通常のアプリは「フルアプリ」と呼ばれることもある。
ミニアプリの次は、画面サイズと機能をさらに絞り込んだMicro App(マイクロアプリ)、最終的には簡素化を究極まで推し進めたNano App(ナノアプリ)が登場する予定。ただし、ナノアプリは目視では識別できないレベルまで小型化が進む、というような話はもちろん妄想である。
Engagement(取り組み、良好な関係、エンゲージメント、…)
翻訳者にとって、最もやっかいな単語の一つだろう。まず、婚約、約束、契約といった辞書の訳語が頭に浮かぶ。しかし、マーケティングのドキュメントでは柔軟な読解力を持ち合わせていないと、お手上げとなる。概念を理解していなければ、訳は仕上がらない。実際の翻訳では、文脈を読み取って訳すしかないが、さまざまな訳語が考えられるだけに、翻訳者の読解力と日本語の語彙力が試される。適訳が思い浮かばなければ、エンゲージメントとカタカナに逃げるしかなくなるが、プロの翻訳者なら、そこでグっとこらえて自分自身と戦ってみるのもいいだろう。因みに、Engagementは戦いを意味する場合もある。