「節節高升」「歩歩高升」

12月31日も1月1日も、仕事をする上での違いはない。が、そこには時間軸上の節目がある。新年を迎えた新たな決意や願いもあるだろう。

単なる区切りとしての節目は、英語でturning pointと言う。業務上の節目はmilestoneとも表現するが、単に「節(ふし)」と出てきた場合の訳は文脈によって当然大きくことなる。

その「節」だが、日本では古来より竹の節の効能が活かされてきた。団扇や茶せんは竹の節を活かした芸術品であるし、尺八の音色は節によって甲高く響く。日本の弓道で使われる竹弓は節があることでしなりに堪え座屈しにくい。

「竹は節ありて風雪に強し」と言われるが、竹の強さの秘密は節にある。節のおかげで竹はしなり強靭になる。節にはまた、病原菌の侵入を阻止する力もある。竹の節の数は成長した竹もタケノコの時も同じだが、節と節の間隔が伸びることで真っ直ぐ上に強く成長していく。節には成長要因があるからだ。

重要な成長要因のある「節」の始点が12月31日と1月1日の間には存在すると考えると、身の引き締まる思いがする。

この「身の引き締まる思い」を英語で表現する場合、inspire(インスパイア)、bracing(活力とエネルギーを与える)、motivate(動機を与える)といった単語を使ったりするが、節目はまさにインスパイア点と言える。初詣は、「節目」にインスパイアを求める行為でもある。

ローカリゼーション業界においては、歴史的にも大小さまざまな節目が数多く存在してきた。今、目の前に寄せてくるのは、業界の大きな「節目」を形成するであろう「アジャイル・ローカリゼーション」という大きなウェーブである。

時代は、これまでにないリアルタイム性を求め始めている。2013年は、日本を含め世界のL10N業界においても新たなturning pointとなるだろう。次々に出現してくるエキサイティングな課題。求められる即応性、柔軟性、専門性。これらにお応えし、さら進展していくには、「節」を一つひとつ増やし組織力を強靭にしていくことである。デプロは、困難な課題への取り組みを自身の成長要因と捉えている。まさに、それこそが一つひとつの「節」となり、発展への確実で力強い一歩となる。

「節節高升」「歩歩高升」

「人生に花束」

社員の一人がオーケストラの団員として演奏会に出た。彼のパートが引き立つ演奏曲目だった。

相当な練習を重ねてきたのであろうことは察せられたが、それ以上に、舞台の彼は凛々しく堂々として輝いていた。仕事に対する向き合い方が真面目で真摯な彼。演奏に聞き入りながら、澄んでぶれのない美しい音色に人柄が出ているように感じられた。演奏は、まさに”ブラヴォー!”だった。

精一杯の拍手を送りながら、若かりし頃、ウィーンで見かけた老婦人のことを思い出していた。2012年10月1日のブログでも触れたが、街かどでテナーサックスを吹いていた老婦人のことだ。生きるとは、”そういうこと”なのだろうと思わせてくれた、あの老婦人である。

小さな花束であっても、自分自身からであっても、「人生に花束」を!そんなことを思った。

仕事でも何においても、”生きる”を実践していれば、きっと花束が届くだろう。
そう、きっとGod bless you!

チャレンジしてみませんか。

問:翻訳者の募集を開始したとのことですが?

CEO:弊社では「翻訳・校正・ファイル検証・プロジェクト品質管理を担当していただけるスタッフ」の募集を開始しました。プロジェクトによって、翻訳(ローカライズ)という業務には、エンジニアリング的な要素が多分に含まれますが、一言で言えば社内翻訳者を求めているということです。翻訳者といっても、いわゆる文芸翻訳者ではありません。ITに関わる技術的な知識を有している翻訳者だとお考えいただければよろしいかと思います。

問:ローカライズ業務って?

CEO:英語版のソフトウェアやドキュメントを日本語化、つまり翻訳する作業になりますが、ソフトウェアの日本語化(ローカライズ)にあたっては、語学力だけではなく技術的な知識や感性が求められます。ローカライズプロジェクトを成功させるには、さまざまな要素が絡み合ってきますが、翻訳の質をいかに効率よく高めるかが重要な課題の一つと言えます。

ローカライズの対象となるソフトがどういったソフトなのか、ユーザーは誰なのか、どのような使われ方をするのか、販売地域(例えば、日本)で留意しなければならないことがあるのか、販売後のメーカー側のサポート体制はどうなっているのか、更新の頻度は、といったプロジェクトに関連するあらゆる要素を、お客様とのコンタクトを密にして可能な限り把握しローカライズ業務を進めていかなければなりません。時には、1つの単語を置き換えるにも、相当な労力を使ったりします。その単語がどういう状況(つまり、コンテキスト)で用いられているのかを理解し、最も適切な言葉にローカライズしなければならないからです。

例えば、”To”という単語だけが出てきた場合、辞書の訳語をそのまま使って、「…まで/…へ/…に」といった訳語を安易に当てはめてしまうと、コンテキストによってはクリティカルなミスになります。皆さんがメールを送信する際には”宛先”の欄に送信先のアドレスを入力しますが、英語ではこの”宛先”は”To”となっています。つまり、”To”を”宛先”とローカライズしていることになります。コンテキストがわかっていれば、”宛先”と訳せますが、コンテキストがわからなければ安易に訳すことはできません。英単語の”To”だけが提示されて、それを訳さなければならないとしたら、困ってしまうでしょう。コンテキストによっては、品物の送付先を意味しているかもしれませんし、あるいは、時間や期限を表しているのかもしれません。

ローカライズ業務では、英単語だけの提示であっても適切に訳すよう迫られます。これに対処するには、ソフト全体を把握し、その中で提示された単語がどういった位置づけにあるのかを洞察しうる技術的な知識や”勘”のようなものが求められます。この”勘”を裏付けているのが、技術力やソフトに対する理解度、経験値によるものとも言えます。ただ、こういった技能はすぐに備わるものでもありませんので、業務の中で磨いていくことになります。必要となる技術的な知識は幅広いので、知識欲の強い人が求められます。

問:何か、すごく難しそうですが?

CEO:難しいとは思いません。ただ、ひたむきさが必要でしょう。素養があれば、技能は磨かれていきます。わたしが意味する素養とは、その人の性格のようなものと語学の基礎力、そして何よりも、やる気や向学心、生きていくための必死さです。この仕事には、ある意味、職人肌の人が向いていると思います。いい意味での職人気質です。つまり、己の技能を磨き誇りにし、納得するまで徹底的に仕事に取り組む実直さがあるかどうかです。悪い意味での気質だと大変困りますが…。会社組織としてビジネスを行っていますので、コストを度外視したり、協調性や柔軟性がなかったりするのは許されません。ローカライズ業務は、チームプレーでもありますので、調和を図りプロジェクト全体を見渡すことも必要です。

問:最後に一言。

CEO:翻訳を生涯の仕事にしてみようと思っている方は、臆することなく是非チャレンジしていただきたいと思います。ローカライズという業務を通して、何らかの喜びを感じてもらえれば幸いに思います。ある意味、年齢を重ねても奏でられる仕事です。ローカライズという業務は、言葉を置き換えるといった断片的な作業ではありません。言うなれば、オーケストラの演奏をお客様にお届けするようなものです。一つひとつのパートパートが、しっかりと演奏され、これらパートのすべてがコンパイルという形で作曲者の想いを表現できるように融合して統合されなければなりません。適切に訳された1語1文が数限りなく合わさり調和され1つの作品となり、オーケストラの演奏としてお客さまに届けられるのです。

個々のパートをしっかりと仕上げていくにも練習の積み重ねが必要です。きつい練習があるかもしれませんが、お客様に喜んでもらえる演奏ができたときは、きっと、あなた自身にも、ジワっと喜びがあふれると思います。この仕事、やってみたいと思いませんか。チャレンジ、お待ちしています!