Office administrator(秘書、…)

“事務管理者”って直訳してしまうと、具体的なイメージがわかない。役職の翻訳は、ホンとやっかいである。国や会社によっても、その定義が異なるからだ。米国系の企業でOffice administratorと言えば、一般的には秘書的業務を行う人のこと。ならば、Secretaryとの違いは?と問いかけられそうだが、ほぼ同じ意味で使われている場合もあれば、まったく異なる場合もある。Secretaryの定義はこれまた多様なだけに、文脈を読み取る必要がある。企業の役職を翻訳する際は、どこの国の企業か、その役職の業務内容はどういったものかを確認(調査)した方がいいだろう。

翻訳って、調査業務みたいなもの…なのかも…。

Evoked set(想起集合)

マーケティング業界でよく使われるが、ブランディングにおいて重要な尺度である。意味は文字どおり、消費者に(世の中にある無数の商品やサービスの中から、自社が販売するそれらが”選択肢(集合)”の1つとして)まず想起して(思い浮かべて)もらうということだ。選択肢(候補)に入るということは、消費者の記憶に残っているということだが、記憶からダイレクトに想起してもらうブランディングが重要ということになる。
ただ、この訳語は、読者によっては???となるかもしれない。そういった場合は、文脈を考え”選択肢”とか”思い浮かぶブランド”と訳した方がわかりやすくなるだろう。

Share of voice(SOV(シェア・オブ・ボイス))

<久しぶりの投稿。ここ数カ月、L10n用語を拾う時間もなくバタバタ。反省!>
さてさて…この言葉は、広告業界でよく使われる。何となくわかるような…、でもピンとこない表現。中途半端に直訳して”声のシェア”とするより、”SOV(シェア・オブ・ボイス)”とダイレクトに表記した方が業界では通じる。広告出稿量やメディア露出量を指す指標のようなものだと思えば良い。広告効果は、どれだけ広告費を投入したかという絶対量よりも、競合製品の広告出稿量との比較で決まるという考え方に基づいている。分母と分子をどう設定するかによって数値は異なる。SOVがマーケットシェアと比例するわけではないが、SOVが大きいと消費者の「想起集合=Evoked set」、つまり”選択肢”の中に自社商品を入れておいてもらえる確率は高まるのだろう。