たとえば、迷惑メールを正常メールと判断してしまうこと。逆に、正常メールを迷惑メールと判定されることをFalse positiveと言う。見方によっては、ネガティブとポジティブが逆のような気もするが、「不正アクセス者」を「認証されたユーザー」と判定されることがネガティブなことだと考えれば何となく理解できるだろう。そう、この場合をFalse negativeと言うのである。それでも、やはり混乱してしまう用語なのは確か。医学分野では”False negative(偽陰性)”、”False positive(偽陽性)”と訳すが、一般には馴染みのない言葉だけに、一般向けドキュメントでは文脈によって訳しわけた方がいい。情報セキュリティの分野では、”誤った判定”などと訳したほうがわかりやすくなる場合も多い。文脈が曖昧な場合は、誤検知(False~)と日英併記にする手もある。

Production environment(本番環境)
システム開発の分野ではこう訳す。分野によっては生産環境でもいいが、そこをグッとこらえて本番環境と訳そう。RealとかActualがenvironmentの前にある場合はどう訳すか。単純に、実環境とか実際の環境と訳す。場合によっては現実環境と訳す場合もあるが、厳密にはReality environmentを現実環境と訳す場合が多い。本番環境というのは、システムが製品として実際に稼動している環境を指すが、対比的な用語として開発環境(Development environment)がある。開発すれば本番前には検証しなければならない。その段階の環境をステージング環境(Staging environment)と言う。
Reputation(レピュテーション、レピュテーション技術)
ITドキュメントに”Reputation”と出てきたら、ほとんどの場合、レピュテーション、または”レピュテーション技術”を意味する。通信相手の”評判”を調べ分析し、点数化や重み付けなどをして”怪しさ”を判断するセキュリティ技術の一つ。正確に表現するとしたら”Reputation-based security technology(レピュテーションベースのセキュリティ技術)”となる。長ったらしいので、単に”Reputation”とか”Reputation technology”と表記したりする。ネット上の脅威は、高度化、複雑化、緻密化している。進化を続ける脅威。まさに、俊敏に攻撃の連鎖を切断していかなければならない。そこにビジネスが生まれるのだが…。ビッグデータをうまく活用すれば、さらに新しいセキュリティ技術が生まれるだろう。その分、脅威も増大するのだが…。あ~”イタチごっこ”。