辞書の訳語としては、”所有権(の)”とか”著作権のある”といったところだろうが、文脈から判断して、法的な説明でない限り”専用~”とか”固有の~”と訳す場合が多い。”Open(オープン)”に対してプロプライエタリ~と言う場合もある。例えば、仕様やソースコードなどを公開せずに独占的に権利を保有しているソフトやシステムのことを、プロプライエタリソフトウェア とかプロプライエタリシステムと言ったりする。オープンの反意語として”クローズド~”もあるが、”クローズド~”と言う場合、一般的にはソースコードが公開されていないことを指しており、反意語として捉えるには、それぞれの用語の示唆する範囲が厳密に対応していないことに留意する必要がある。

Deploy(デプロイする、配置…、展開…、…)
読者層によって用いる訳語を決める必要があるが、IT分野で使う訳語の優先順位としては、1)デプロイする、2)配置する、3)展開する、だろう。”導入…”と訳す場合もある。”配備…”と訳されているケースも見かけるが、軍備に関して用いられる英語の意味がそのまま使われているようで日本語的に違和感は拭えない。IT分野におけるデプロイ(メント)には、幅広い意味がある。リリースやインストールをはじめ、システムの開発環境からステージング環境へ、さらには本番環境への反映も含まれている。システムを利用可能な状態にするまでの一連の行為を指すことを考えると、意味を限定せずにデプロイとした方がいいだろう。
Implement(実装する、インプリメント…、実行…、実施…、実現…、…)
IT分野のドキュメントなら、”実装する”とか”インプリメントする”とか訳す。IT技術者にとっては、その用語で何ら違和感はない。実装というのは、機器やソフトアに新しい機能、部品、仕様、プログラムや関数などを組み込む行為のことだが、”実装”にするか”インプリメント”にするかはプロジェクトごとの確認が必要だろう。文脈によっては”導入”と訳す場合もある。何れにしても、文脈に従えばよい。一般的なドキュメントでは、言うまでもなく”実装”や”インプリメント”などとは訳さない。分野やターゲットなる読者層を考えて、実行、実施、実現といった訳語を用いるべきだろう。