資産台帳や資産目録、品目(を作成)、棚卸し(をする)といった意味だが、IT資産に関しても、例えば企業は自社が所有するIT機器やソフトウェアなどの詳細な情報(取得年月日、契約形態、設置場所、品名、型番、性能、容量などのスペック、ネットワーク関連情報、ソフトウェアのライセンス内容など)を項目別に詳細にまとめて管理している。こういった管理するための情報やその行為を、IT分野では”インベントリ”とか”インベントリ作成”と訳す。会計分野においては、資産を一元的に管理するために必要な財産目録と言える。これらインベントリの作成や管理を支援するツールなどもある。企業では、機器類の新規購入、増設、ソフトの更新、廃棄、原価償却などが常に発生するためインベントリ管理の効率化が求められるわけだが、そこにビジネス市場が存在する。

Robust(堅牢な、信頼性の高い、トップクラスの、…)
頑丈で丈夫、頑強、強靭、強健などの意味があり、さまざまな場面で用いられる。人や企業に対しても使える。IT分野では、ハードウェアが丈夫で壊れにくいとか、システムやソフトウェアが、エラーや障害などに柔軟に対応できることを示唆する場合に使う。そういった強さや対応能力を指して、堅牢性に優れているとか表現する。
強固で壊れそうにない、簡単に壊れない、破れない、つまり脆弱でないということから、ハードやソフトだけではなく、セキュリティに対しても使われる。ワイン好きの筆者には、ラテン語のrobustus(オークのように強い)という意味で馴染みがある。ワインの保存熟成には、オーク樽が使われる。丈夫というだけではなく乾燥にも微生物にも強い。ワインの話になると長くなるので、このあたりで…。それでも一言。しっかりした、こくのある、豊醇なワインに対して”robust wine”と言ったりもする。
BYOD(Bring Your Own Device)(私物デバイス、個人所有デバイス)
文字どおり、従業員が社内に持ち込んで業務に利用する私物の端末を指している。端末そのものを指すこともあれば、そういう考え方を意味している場合もある。つまり、私物の情報端末などを社内に持ち込んで業務で利用することだと理解していれば、文脈から適宜訳していけるだろう。端末を示唆する場合は、ニュアンス的には”私物デバイス”という訳語がいいと思うが、”個人所有デバイス”と表現しているドキュメントも多い。どちらを用いるかは、翻訳プロジェクトごとに決めることになる。使い慣れたスマホなどの端末を使えば、業務効率がアップするケースも多いだろう。が、セキュリティリスクへの対応が大きな課題でもある。BYODポリシーの作成にあたっては、企業に課せられる電子情報開示、フォレンジック、コーポレートガバナンスのことも考えて検討されなければならない。企業におけるBYODの活用はますます広がるだろう。それに合わせて、モバイル端末向けの各種ツールもさらに市場投入されていくに違いない。