先日テレビを見ていたら、フランスのマルセイユからさらに奥に入った港町で漁師さん仕込みのブイヤベースを紹介していた。すごかったあー。まず取った魚を仕分けして大きなものと小さなものに分ける。そして小さなものは「だし」用にするのだが、とにかくうろこも内臓も取らずにどばーっと鍋に入れ、1時間ほどぐつぐつ煮込む。この時にフェンネル、ローリエ、パセリ、タイムなどのたっぷりのハーブを入れる。濾しておく。
大きい魚はメイン用にうろこと内臓を取り海水で洗う。大鍋でニンニク、玉ねぎをオリーブオイルで大量に炒め、そこに先ほどのスープを入れる。ここからは時間勝負。大きな魚を入れ、上にスープをかけながら10分ほど煮る。先にジャガイモの茹でたものをスープに入れておく。
ニンニクとからし、卵の黄身、オリーブオイルをミキサーにかけ「ルイユ」というソースを作る。これをかたいフランスパンに塗ったものを用意しておく。
魚に火が通ったらできあがり。
まずスープボールにルイユをたっぷり塗ったフランスパンを並べ、そこにスープをたっぷり加える。パンがスープを吸って、スープを食べる感じ。
うーんおいしそう。次にメインの魚にまたルイユを付けて食べる。たっぷり一人一匹のカサゴ、とか鯛がサーブされる。
あまりにおいしそうだったので、作ってみた。もちろん同じ材料は入らないからアレンジはMUST。だしは鱗も内臓も取った鯛のあらだけを使ったし、ワインを一杯入れてみた。フェンネルはなかったから八角の粉末とサフランをたくさん入れた。ゆうに半日かけて作ったブイヤベース。
おいしかったあ……
ミクニさんの言葉だが、「フランス料理は足し算、日本料理は引き算」。そのとおり。内臓の臭みをハーブを加えて取り、うまみに変える。血合いを全て取って臭みを取って潮汁にする日本料理のやり方となんと違うことか。
料理だけではない。フランス人は自分の体臭と混ぜていい香りになるコロンをつけてにおいを消す。日本人は毎日お風呂に入り、においを消す。たぶんこういうお国柄も翻訳に通じるところがあるのだろう。丁寧な、余分なものをそぎ落とした、でも内からでてくるコクがある、そんな翻訳を出していきたい。