Repetition(繰り返し)の処理について

「繰り返し」とは、CATツールで最初に出てきたときは「新規」とカウントされるが、それ以降、反復して出現する場合に「繰り返し」という分類になるカテゴリのことを指します。この「繰り返し」の文の処理は厄介です。なぜかというと、ファイルが複数あり、複数の翻訳者が同時に作業する場合、別々に訳してしまうと同じ意味の違う訳が返ってきてしまう。さらに、お客様への見積もりで、複数ファイルすべてで一度に解析を行った場合、受注上は「繰り返し」は新規単価の約10~25%の単価(案件により異なります)であるにもかかわらず、翻訳者には「新規」としてカウントすることになってしまうからです。このような状況が起きないようにシングルソースで翻訳する(1つのファイルのみを翻訳して、複数の出力形態に展開する)というのが主流ですが、諸々の理由でソースがそろっていないケースも多々あるようです。

これを解決するために、TMをサーバー上に置いて作業者がシェアすればいいという考え方があります。でもその場合、最初に翻訳した人の訳を別の人が取得してしまうことになります。その訳がよくなかったら、どうでしょう。そこに引っ張られた全体の品質は下がり、誰かが気づいて直したとしても、またそこに不統一が発生します。できるだけ、翻訳単位の品質はひとつひとつしっかりと管理していきたい。

こういう場合、弊社では全ファイルに対し、この繰り返しの2回目以降に出現するところをCATツールのエディター上でロックします。ただし、CATツール上でそのツールの機能を使ってロックすることが出来ない場合もあります。ファイルのサイズが大きすぎる場合です。たとえば、最近弊社で扱った案件では、Trados上ですべてのファイルを一度に開き、Tradosの機能を使って2回目以降に出現するところにロックをかけるのは不可能でした。そのため、弊社のエンジニアが最初の1度だけを翻訳対象とし、2度目以降はTradosでLockをかけたように処理をしました。
ちなみにCATツール上でこの処理をする場合は、どのファイルにある1度目を翻訳対象とするか、という指定はできません。
でも弊社のやり方ではこのファイルを優先的に1度目としてほしい、という指定が可能です。結果、先にそのファイルだけを翻訳し、校正してしまえば、他のファイルにどんどん展開ができるのです。この処理により、不要な複数訳文の統一作業を避け、複数の翻訳者への新規での支払いも避けることができます。一貫性も保てます。

このスキルは弊社ではよく使用しています。
似たようなマニュアルを効率的に翻訳したい、コストも削減したい、品質も落としたくない、そのようにお考えの方は是非デプロにご相談ください。