dielectric(誘電体)

材料測定に関する翻訳に、dielectric(誘電体)という言葉がよく出てくる(例えば、Agilent 基板の誘電率測定用SPDR誘電体共振器)。

物質を電気の流れやすさから分類すると、導体、半導体、絶縁体(誘電体)になる。通常、これらはバンド理論で説明されるが、定性的には、金属などの導体は原子の最外殻の電子が原子同士の結合にはほどんど関与せず非常に低いエネルギーで移動できるので、電気を通しやすい。一方、絶縁体は、すべての電子が原子間の結合に使われ束縛されているので、電流の担い手である電子が移動できない。したがって、導体にDC電圧(電界)を印加すると電子(電流)が流れ、絶縁体にDC電圧を印加しても電子(電流)が流れない。

しかし、絶縁体にDC電圧(電界)を印加すると、電子は流れないが絶縁体内の電荷の分布に偏りが生じる(この現象を分極と呼ぶ)。すなわち、電極で挟まれた絶縁体の両端に電極電荷とは反対の分極電荷が誘起される(このことから、絶縁体は誘電体とも呼ばれる)。分極電荷により電極電荷が打ち消された分だけ電荷がさらに電極に流入するので、電極で挟まれた誘電体(コンデンサ)はより多くの電気(電荷)を蓄えることができる。誘電体の分極の強弱を表すのに、誘電率が用いられる。

誘電体については、以下を参照

Everyday Physics on Web電気と磁気導体と絶縁体

誘電体測定の基礎

baud(ボー)

デジタル変調に関する翻訳に、baud(ボー)という言葉がよく出てくる(例えば、N4392A光変調アナライザ コンパクト、ポータブル、低価格のp12の「10 Gボーのシンボル・レート」)。

baudは、データ伝送速度の単位で、フランスの電信技術者のJean-Maurice-Emile Baudot(1845-1903) に由来する。

データ伝送速度の単位は、通常はbps(bits per second)であり、1秒間に何ビット伝送できるか(ビット・レート)を表す単位である。baudは、正確には、1秒間に何回変調できるか(変調速度、ボー・レート)を表す単位である。例えば、BPSK(2値位相シフト・キーイング)では1回の変調で1ビットの情報を伝送できるのでbps=baudとなるが、16QAM(16値直交振幅変調)では1回の変調で4ビットの情報を伝送できるのでbps=4×baudとなる。ボー・レートはシンボル・レートと呼ばれることもある。

ボー・レート(シンボル・レート)については、以下を参照

通信システムのディジタル変調入門編のp12~p17

Trados Studio 2014 のライセンスサーバ運用

Trados Studio 2014が発売になりました。

先日購入した前バージョンの2011に、2014への無償アップグレード権が付いていましたので、テストも兼ねてアップグレードしてみました。しかし、これが一筋縄では行きませんでした。networkライセンスを利用している場合、覚えておかなくてはならないポイントがいくつかありますので、ここでご紹介したいと思います。

TrdsLic

  1. SDL Licensing Server Toolkitはv1.6以上をインストールする
  2. ライセンスサーバとクライアント(Trados Studio 201x、Passolo)は、同一コンピューターにインストールできない
  3. ライセンスサーバがホストできるのは1つのバージョンに限る
    → 2011と2014を共存させる場合、それぞれの専用サーバが必要
  4. 2011から2014へアップグレードしたユーザーは、2014のライセンスで2011を使用することが出来る


つまり、図のようにアップグレードのユーザを除いて、それぞれの専用ライセンスサーバへ接続する必要があるということになります。開発元のSDLが2009までと2011以降では異なるベンダーのライセンス管理システムを導入したため、あれこれ制限が生じるようになったようです。

ということで、2014へのアップグレードについてはSDLのサポートに相談のうえ、プランを練ってから行うことをおすすめします。