CW

計測分野の翻訳で、信号発生器と関連してCWという言葉がよく出てくる(例えば、Agilent M9380A PXIe CW信号発生器)。

CWは、Continuous Wave(連続波)の略である。アマチュア無線などでは、変調されていないRF正弦波(連続波)をモールス符号で断続して通信するモールス通信のことをCW通信と呼ぶことが多い。計測分野では、CW信号とは周波数と振幅が一定の正弦波を意味する。CW信号発生器とは、周波数と振幅が一定の正弦波を発生させる装置であり、掃引信号発生器とは、正弦波の周波数または振幅を変化させながら発生できる装置である。

信号発生器については、以下を参照。
信号源の基礎

Roll out(ロールアウト)

訳自体はそのままカタカナ表記すれば済むが、文脈を理解した上でカタカナ表記すべきだろう。分野によっては、解釈に混乱をきたす用語である。意味は文字どおり、roll(転がり)out(出る)で、世の中に製品やサービスを送り出すことだが、新規展開、運用開始、公開、市場投入、リリースなどなど、解釈は多岐に可能だ。

分野が異なれば、訳語に注意したい。基礎的な知識が不足しているのか、文脈を理解せずに翻訳しているケースをよく見かける。技術分野ではメインメモリーに空き領域がない状態のときに、補助記憶装置に優先順位の低いデータやプロセスを退避させることをロールアウトと言うが、そのことを知らないと”ちんぷんかん”な訳になったりする。

マーケティングの世界では、セールスレター(メール)などをリストに基づいて発送(発信)する作業のことを指すのだが、大量にDMを発送する作業もロールアウトである。

間違っても、rule outと見間違えて、「ありえない!」と言われないように。

Mushroom cushion(菌糸体(キノコの成分物質)を使ったクッション材)

スーパーで売っている食用の”きのこ”をクッション材として使っているわけではない。インテリア小物として売られている”きのこの形をしたかわいいクッション”でもない。パソコン機器などの商品の運搬時に使用される緩衝材(梱包材)なのだが、菌糸体(キノコの成分物質)とさまざまな作物の籾殻や種子殻などから包装資材が作られている。言うなれば、環境に優しい生物分解可能で堆肥化可能な緩衝材ってところだ。農業廃棄物を滅菌し型に入れて作られた菌糸体のかたまりを加熱するとマッシュルームクッションができあがる。

そのうち、英語をそのままカタカナ表記してマッシュルームクッションとするだけで通じるようになるかもしれないが、今のところは少し説明口調の訳にした方がわかりやすいだろう。

米国のEcovative Designという会社などが開発しているが、将来が楽しみなグリーンベンチャーたちだ。使い終わったら、堆肥化せずに食べられればもっといいのかも…???