MAC、RLC、RRC、NAS、PDCP

LTEに関する測定の翻訳に、MAC、RLC、RRC、NAS、PDCPという言葉がよく出てくる(例えば、UXM ワイヤレステストセットのp9)。

LTEネットワークは、コア・ネットワーク(EPC(Evolved Packet Core))と無線ネットワークに分けられる。無線ネットワークは、eNodeBのみで構成され、各eNodeBはLTEを収容するコア・ネットワーク(EPC)とS1リンクで接続されている。また、eNodeB同士はX2リンクで接続されていて、S1リンクを介さないX2ハンドオーバーが可能で、UE(携帯端末)が移動中でもスムーズなハンドオーバーができる。

eNodeBとUE間の無線プロトコルには、ユーザデータを扱うU-Planeプロトコル階層と制御メッセージを扱うC-Planeプロトコル階層がある。U-Planeプロトコル階層には、レイヤ1であるPHY(変調方式、符号化方式,アンテナ多重化などの処理を行なう)と、レイヤ2であるMAC(Medium Access Control:無線リソース割り当て、データマッピング、再送制御などを行なう)、RLC(Radio Link Control:再送制御,重複検出,順序整列を行なう)、PDCP(Packet Data Convergence Protocol:IPパケットヘッダ圧縮、解凍、暗号化を行なう) で構成されている。C-Planeプロトコル階層は、U-Planeプロトコル階層と同様のプロトコルと、レイヤ3であるRRC(Radio Resource Control:システム報知情報配信、緊急地震速報配信、ページング配信、NASメッセージ配信、ハンドオーバー制御などを行なう)、NAS(Non-Access Stratum:認証を行なう)で構成されている。

LTEについては、以下を参照。

次世代の無線技術、LTEの仕組みが分かる インデックス

MAC、RLC、RRC、NAS、PDCPについては、以下を参照。

高速・大容量・低遅延を実現するLTEの無線方式概要のp17~p19

けやきひろば秋のビール祭り2015

秋といえば、けやき。けやきといえば、ビール。
ということで、またまた出掛けてきました。

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いつ来ても、会場の熱量に圧倒されてしまいます。毎回予習はしていくのですが、そのとおりに飲めた試しはありません。ただただ、目の前のビールをおいしくいただくことに精一杯となってしまうのでした。

それでは、次回は春。けやきひろばでお会いしましょう。

fading(フェージング)

移動体無線通信測定に関する翻訳に、fading(フェージング)という言葉がよく出てくる(例えば、MIMO受信機テスト 実環境でのMIMO受信機の正確なテストのp2)。

携帯電話などの移動体無線は、複数の基地局でサービスエリアをカバーするセルラー方式が用いられている。特に都市部では、基地局と移動局との間の見通し線路が確保されず、周囲の多数の建物、看板、樹木などにより反射、回折、散乱されて、多数の経路を通った前後左右からの電波を移動局が受信することになる。この結果、電波が複雑に重なり合って定在波が生じ(干渉し)、電波の受信強度が激しく変動する。このような現象を(マルチパス)フェージングと呼ぶ。

強力な見通し波が存在しない場合は、上記のように多数のランダムな経路を通って前後左右からランダムに多数の電波が移動局に到来する。これらの個々の電波(素波)の振幅を同程度とすると、受信信号の同相成分と直交成分の大きさの分布は、中心極限定理から素波の数が多くなると、互いに独立な正規分布(ガウス分布)に近づく。この同相成分と直交成分で表した受信信号は、極座標変換により振幅と位相で表わすことができ、同相成分と直交成分が正規分布の場合には、受信信号の振幅はレイリー(Rayleigh)分布、位相は一様分布となる。これが、レイリー・フェージングと呼ばれるものである。

強力な見通し波も存在する場合は、同相成分と直交成分で表した見通し波の位置を中心にして(強力な見通し波の分だけずれた位置に)、多数のランダムな素波の同相成分と直交成分が正規分布している。これを振幅に変換するとライス(Rician)分布(仲上-ライス分布とも呼ばれる)となり、ライス・フェージングと呼ばれている。

フェージングについては、以下を参照。

電波伝播の基礎理論

ワイヤレスデザインのホームページ > 無線トリビア > のNo.7 : 無ガウス分布・レイリー分布・ライス分布の関係