おとなの社会科見学

長野県上伊那郡宮田村にある、信州マルス蒸留所に足を運びました。こちらではウイスキーが作られています。

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以前にも訪れたことがあったのですが、その当時はウイスキーに興味がなかったために、ごく普通の観光地をめぐる感じで、さほどに印象に残りませんでした。しかし、今回はウイスキーを嗜むようになってからの訪問ということで、設備の一つ一つに対し興味津々でした。

仕込みは冬に行うということで、ポットスチル(単式蒸留釜)はお休み中。設備を更新したばかりとのことで、ピカピカだったのが印象的でした。そして一番インパクトがあったのが貯蔵庫。入口のドアを開けた瞬間、ふわっとウイスキーと木材のいい香りが漂ってくるのでした。

樽に入れられたウイスキーは年2~4%の割合で蒸発しており(いわゆる、天使の分け前)、それが建物の中に充満しているというわけです。アルコールだけではなく木樽から発せられる芳香を伴っており、酒好きにはたまらない空間となっていました。一方で、貯蔵庫に入るやいなやすぐに外へ出てしまう方もいて、なかなかに濃い場所であることがお分かりいただけるかと思います。

ふだん身の回りにある品が、どのように作られているのかを知ると、愛着もまたひとしおです。たまにはこういった大人の社会科見学に出掛けるのもいいものです。

envelope tracking(エンベロープ・トラッキング)

無線通信測定に関する翻訳で、envelope tracking(エンベロープ・トラッキング)という言葉がよく出てくる(例えば、平均パワー/エンベロープ・トラッキング・デザインで使用できるソリューションと測定ツール)。

携帯電話やスマートフォンなどのモバイル無線機器やその基地局には、電波を送信するためのパワーアンプが内蔵されていて、電力消費の大きな部分を占めている。モバイル無線機器のバッテリー駆動時間の増加やその基地局の電力消費の削減のために、パワーアンプの高効率化(省電力化)は常に大きな課題であり続けている。このようなパワーアンプの高効率化の手法の1つとして、エンベロープ・トラッキング方式というものがある。

近年、モバイル無線機器ではOFDMなどの複雑な変調方式が採用され、パワーアンプへの入力信号のピーク電力と平均電力との比(ピーク対アベレージ電力比)が大きくなっている。このような変調信号を(規格を満たすように)低歪みで増幅して送信するには、パワーアンプに一定の大きなバイアス電圧をかけておく必要がある。言い換えると、ピーク電力時の入力信号に対して、歪みが大きくならないように圧縮領域に入るギリギリ手前で動作するようにバイアス電圧をかけるおく必要がある。これは、平均電力時には過剰なバイアス電圧となるので、パワーアンプの効率の低下につながる。

エンベロープ・トラッキング方式は、パワーアンプへの入力変調信号のエンベロープ(包絡線)を検出(トラッキング)して、それに応じて瞬時に(歪みが生じないレベルに)バイアス電圧を変化させることにより、パワーアンプの消費電力を低減する技術である。

エンベロープ・トラッキングについては、以下を参照。

住友電工のホームページ > 技術開発 > 技術論文集 SEIテクニカルレビュー > バックナンバー > もっと見る > 2010年1月号 No.176 > 情報通信 > 携帯電話基地局用高効率増幅器の開発

spread spectrum clock(スペクトラム拡散クロック)

ビットエラー測定に関する翻訳に、spread spectrum clock(スペクトラム拡散クロック)という言葉が出てくる(例えば、Keysight J-BERT M8020A 高性能BERTのp4)。

近年のデジタル機器(PCや携帯電話など)の高速化、高密度化に伴い、機器のEMIノイズは増加し続けている。デジタル機器の動作にはクロック信号が必要であり、その基本波と高調波がノイズの主な原因である。理想的な方形波のクロックを、スペクトラム・アナライザなどで周波数領域で見ると(方形波をフーリエ変換すると)、クロック周波数(基本波周波数)、3×クロック周波数(3次高調波周波数)、5×クロック周波数(5次高調波周波数)、...の位置にスペクトラムのピークがあり、大きなノイズの原因となる。

CISPR(国際無線障害特別委員会)などのEMI規格に適合させるために、上記のようなクロック信号のピークを低減させる技術がスペクトラム拡散クロックである。これは、クロック周波数をわずかに変動させる(周波数変調を行なう)ことにより、周波数領域のピーク信号のエネルギーをその回りに分散(拡散)させてピーク振幅を低減する方法である。

身の回りのものでは、PCのBIOS設定で、スペクトラム拡散クロックのオン/オフができるものがあったが、最近では設定項目がなく常にオンになっている。

スペクトラム拡散クロックについては、以下を参照

周波数拡散クロックIC編

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